遊戯王構築概論その2
2章、ゲーム論
本記事では、現在の遊戯王のゲーム性について掘り下げていきたいと思います。
また、構築のバランスで意識することにも触れていきたいと思います。
遊戯王構築概論その1において、遊戯王は不確定ゲームであるから確率が大事であるという話をしましたが、このゲームの持つゲーム性によりこれはより顕著になると考えられます。
これは、このゲームにおけるカード群は大きく分けて「自分の動きをするカード」「相手の動きを妨害するカード」に分類できることから考えられます。
前者はテーマデッキのモンスターカードなど、後者は除去罠などが挙げられます。
もちろん、どちらに属するカードもあります。
確率が大事であるというのは、この両カード群がバランスよく手札にないとゲームを有利に進めることが難しいという理由からです。
手札がすべてモンスターカード、すべて罠カードで嬉しい人は少ないと思います。
では、なぜバランスが取れていないと不利をとりやすいのか。
それは、このゲームのもつゲーム性に起因するものと考えられます。
このゲームは、簡略的に捉えて盤面供給と盤面解決の連続により成り立っています。
盤面供給とは、モンスターの召喚や魔法罠のセット、永続魔法罠等の発動のこと
盤面解決とは、相手のモンスターや魔法罠の突破のこと
をそれぞれ言います。
そして、ここにライフポイントという速さの概念が加えられています。
盤面の解決ついでに、また盤面に供給されたものを解決できない場合、ライフポイントを削られるという仕組みです。ここが結構大事だと思います。
また、盤面提供と盤面解決のどちらかが行えなくなるとゲームが大きく傾きます。
極端な例ですが、相手に自分より高い攻撃力のモンスターがいて盤面解決する手段を持ち合わせていない場合ほぼ負けですし、モンスターなしでサンダーボルトやブラックホールで盤面解決するだけではゲームに勝てません。
多くの場合は、カードを使い果たしてしまった時に起きやすい現象です。
さて、本題の「自分の動きをするカード」と「相手の動きを妨害するカード」のバランスの話に戻ります。
上の盤面提供と盤面解決は、実はモンスターカードでされることがほとんどですし事足りることが多いです。
魔法、罠は両者の補助的な立ち位置が多いです。永続罠が主役になったりもしますが。
モンスターカード、つまり「自分の動きをするカード」により、盤面提供、盤面維持がなされているわけです。
そう聞くと、極論、「自分の動きをするカード」だけでなんとかなりそうな気がします。
しかし、先ほど述べたライフポイントという概念が、「相手の動きを妨害するカード」の存在意義を高めています。
盤面提供と盤面解決は同時になされることが多いからです。
すなわち、こちらの盤面を解決された直後にこちらのライフポイントが奪われる機会が多いということです。
これは、モンスター除去の主な方法が戦闘破壊であるからだと考えられます。
盤面解決の直後にライフポイントを奪われるのであれば、妨害をしないと負けに直結するシーンが必ず出てきます。
そういった理由で、「相手の動きを妨害するカード」は、ゲームのテンポを確保する役割があると考えることができます。
もうひとつ、魔法罠は盤面提供と盤面解決の補助となると書きましたが、「相手の動きを妨害するカード」に関して言えば、こちらの盤面を強化したり、相手の盤面提供を妨害することで結果的に盤面解決を楽にしたりすることができます。
以上の理由により、「自分の動きをするカード」と「相手の動きを妨害するカード」の両方がゲームに必要になってきます。
つまり、バランスが取れていないと不利をとりやすいというのは、ゲーム進行の補助となる「相手の動きを妨害するカード」が少なすぎても不利をとりやすいですし、多すぎても今度は自分の動きがしにくいというということになります。
さて、構築におけるバランスの話ですが、ハッキリ言ってデッキによって様々ですが、ある程度の傾向はあります。
基本的に注目してもらいたいのが、モンスターの数(特に通常召喚をする役割のあるもの)と罠や手札誘発などの妨害札です。
通常する役割のあるモンスターとは、テラナイトモンスターやガジェットモンスターなど、手札に嵩張りやすいモンスターです。
そうでないモンスターは、メガロアビスやハルベルトなど、手札から捌きやすいモンスターです。
通常召喚するモンスターの多いテーマは、手札に抱え込んだモンスターを毎ターンの召喚権を使って長いスパンで処理していきます。
よって、その時間を稼ぐため多くの罠を採用します。
傾向として、モンスターの数=M、罠の数=Tのとき、
T<M<2T
程度のバランスになりやすいです。
テラナイトあたりが該当するのではないでしょうか。
また、コンボの初動が少ないようなデッキも時間を稼ぐためにおおよそ上のバランスに落ち着きやすいです。
これは、マドルチェ、ゼンマイ、霊獣あたりが該当するのではないでしょうか。
また、展開の初動を魔法に任せられたり、モンスターが自身を特殊召喚できるようなテーマもあります。
この手のテーマは、モンスターが手札に嵩張りにくいので自由な構築をすることができます。
ヒーロー、征竜、シャドールは、環境によって様々な罠を採用してきました。
後は、テーマ内のギミックがあまりコンパクトでなく大味なデッキ構築を要求されるようなデッキです。
「自分の動きをするカード」の割合が多く、初動が安定していて豪快な動きをするテーマが多いです。
この手のテーマは、自身の動きを優先し罠の数を0~5枚強に絞ることが多いと思います。
水精鱗、ネクロス、魔導などが該当しますかね。
バランスに関してはこんな感じです。
すでにそういうものとしてデッキを組まれてる方が多いと思いますが、背景にある意図を意識すると細かいバランス調整のヒントになったりすると思います。
また、デッキの分類を意識することで、構築やプレイングの助けになることも多いと思います。
最期に、構築とはあまり関係ないですが、以下の6項目で各デッキの評価をある程度行えます。
・初動の速さ:単純にメインギミックまでたどり着く初動カードの多さと速さ
・後続の維持力:2回目3回目の盤面提供のスムーズさ
・持久力:後続やリソースの持続性
・盤面の強さ:環境的な要因が多いですが、展開したときどれだけ突破されにくい盤面を作れるか
・盤面解決力:環境的な要因が多いですが、展開されたときどれだけ突破しやすいか
・ライフ奪取力:メインギミックにたどり着いた後、相手のライフをどれだけ速く奪えるか
これらの項目によって、各デッキについて分析してみるとメタゲームの理解の助けになるかもしれません
まとめ
・デッキ構築では、「自分の動きをするカード」「相手の動きを妨害するカード」のバランスを考慮すると良い。
・このゲームは、盤面提供と盤面解決の連続により成り立っていて、ライフポイントという概念によりゲームのテンポが重要になる。
・盤面提供と盤面解決はたいてい「自分の動きをするカード」で行うことができるが、「相手の動きを妨害するカード」は、その補助とゲームのテンポを有利にするという役割がある。
拙い文章で長くなりましたが、こんな感じです。
その3へ続く